相続税は物納できますか?
相続が起こって気がかりなことといったらやはり相続税をいくら払わなければならないか、そして払うことができるかということでしょう。
相続税について
まず、そもそも相続税算出における相続財産ですが、これは以下の通りになります。
相続財産総額-(債務+公課(税金)+葬式費用)=正味相続財産
そして、相続税を決めるにあたっては、以下のような基礎控除があります。
5000万円+1000万円×法定相続人数
ですから、相続人が配偶者と子が2人の合計3人の場合には、
5000万円+1000万円×3人 = 8000万円
が正味の相続財産から控除されるのです。
さらに、基礎控除の他に主な税額控除として、以下のものが認められています。
- 配偶者控除
配偶者は取得財産が1億6000万円又は法定相続相当額については控除される。 - 未成年者控除
6万円×20歳までの年数 - 障害者控除・相次相続控除など
(ただし、これらの各種控除が認められるためには10カ月以内に相続税の申告をしなくてはなりません。)
したがって、相続税が免除されて払わなくてよかったというケースが多いのですが、被相続人の残した財産が多ければ、多額の相続税を支払わなければなりません。
相続税が払えない場合
例えば相続した財産の額は大きいが、不動産ばかりで評価額は高いがすぐに現金になりそうなものがなかったという場合にどのような手段があるでしょうか?
とりうる手段としては、(1)分割納入と(2)物納ということになります。
(1) 分割納入
多額の相続税を一度に支払えない場合は延納申請を行い、一定の条件をクリアすれば分割納入が認められます。しかし、これが認められるためには、相続税額が10万円を超える場合で、延納申請書に担保提供の書類を出す必要があります。
(2) 物納
延納によっても金銭によるその納付が困難な場合には、その納付を困難とする金額を限度として相続税の物納が認められています。
ただし、その対象となる財産は次の順番で日本国内にあることが条件となります。
物納の対象となる財産
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国債、地方債、不動産、船舶
ただし、担保権が付されていたり、境界が明らかでなかったり、使用目的が公の秩序に反するものであるなど問題のある不動産は物納の対象から外れます。なお、土壌汚染などがある場合はその除去などの措置を求められることになります。
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社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
ただし、短期社債や譲渡制限株式は物納対象外となります。
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動産
なお、物納の申請をする場合は納入期限又は納付すべき日までに物納申請書に関係書類を添付して提出する必要があります。
物納に関して何かご不明な点がございましたら、平間法律事務所までご相談ください。