遺言書の方式はどれがいいの?

相続が発生した際、民法において常に優先されるのが個人の意思です。そこにおいて、亡くなった方の意思を実現する意味で遺言書というのが法律で規定されています(民法960条以下)。

このページでは、相続において最も重要と言ってもよい遺言書は、どのような方式が法律によって定められているのか、そしてそれぞれの方式のメリット、デメリットについて説明させて頂きます。

遺言書の方式

遺言書にも種類があり、民法もこれらの方式に従わなければ遺言をすることができないとしています(民法960条)。

大きく分けて普通方式、特別方式の二つがあり、特別方式による遺言書は使用されることはあまりありません。そして、普通方式、特別方式の中にもそれぞれ種類がありますので説明させていただきます。

普通方式(民法967条以下)

  1. 自筆証書遺言(968条)

    遺言者自身が全文、日付、及びに氏名を自分で書き捺印した遺言書のことを言います。

  2. 公正証書遺言(969条)

    公証人という第三者が遺言者から遺言の内容を聞き取り、公証人が作成し公証役場に提出する遺言書のことを言います。

  3. 秘密証書遺言(970条)

    内容を秘密にするため、遺言書を封じ、公証人及びに証人を通じて封書を公証役場に提出する手続きをとる遺言書のことを言います。

特別方式(民法976条以下)

  1. 一般危急時遺言(976条)

    死亡の危機の場合の遺言書

  2. 一般隔絶地遺言(977条)

    伝染病にかかり隔離された場合の遺言書

  3. 船舶隔絶地遺言(978条)と難船危急時遺言(979条)

    船舶にのっている場合の遺言書

ただし、これら特別方式は極めてまれなケースであり、ほとんど使用されていません。

各遺言書の方式のメリット、デメリット

使用頻度が極めてまれであると言える特別方式を除く、普通方式3種類のうち、どの遺言書の方式を選ぶのが適切であるのか。それぞれのメリット及びにデメリットを紹介します。

遺言書の方式 メリット デメリット
自筆証書遺言 最も簡単な遺言書の方式であり、費用もかからず、証人も不要。よって、内容、存在ともに秘密にすることも可能。 ・内容があいまいな場合遺言書が無効になるおそれ。また、偽造のおそれ。
・相続開始の際家庭裁判所での検認を受ける必要あり。
公正証書遺言 ・遺言書が無効、偽造のおそれなし。よって検認の必要なし。
・原本は公証役場に保管再発行可能。
・公証人、及びに証人が必要。
・手続に手間。
・公証人役場において手数料が発生する。
秘密証書遺言 ・封書するため、内容秘密が保障される。
・公証役場に提出するため、作成日の特定が可能。
・存在は秘密にできない。
・無効、偽造のおそれ。
・検認受ける必要あり。
・秘密証書遺言であることを公証人と証人に証明してもらわなければならない。

相続において、
秘密性、費用、作成の難易度を重視するのであれば、自筆証書遺言
公正さ、争い回避を重視するのであれば、公正証書遺言
が適切です。

秘密証書書に関しては、メリットがあまりなく両方のデメリットを組み合わせた形となっているのであまりお勧めできません。

弁護士があなたに適切な遺言書方式をご提案します

最も簡単とされる自筆証書遺言を選択するにせよ、内容があいまいであると遺言書自体が無効となり、相続にトラブルが発生する可能性があります。

遺言書の作成について、お悩みの方は是非弁護士にご相談ください。