相続放棄とは何ですか?

相続の承認と放棄

Q: 親が亡くなり、相続が発生した場合、必ず親の財産を相続しければならないのでしょうか?よくいわれる相続放棄とはどういうものでしょう?

A: 確かに「家」制度が行われていた時代には、被相続人の遺言の自由がかなり大きく、相続の放棄の自由が認められないこともありました。しかし、相続とは債務の承継も伴うものですから、相続人は常に「相続放棄」をして全く相続しないこともできますし、「限定承認」することもできます。また、積極的な態度をとらず熟慮期間を経過し「単純承認」することもできます。

相続放棄とは相続の開始によって生じた相続の効力を拒絶する行為です。ですから、相続放棄と言うと、相続財産がマイナスである場合に行うものとイメージされる方が多いと思いますが、私法の大原則から、財産上の利益がある場合でも、これを拒否する自由が認められます。

さらに、限定承認をするにも、共同相続人全員の共同を必要とするので、共同が得られないときに債務の承継を免れようとする者にとっては、やはり相続放棄とは必要なものです。

相続放棄の方式

Q: 相続放棄とはどのような場合に認められるのでしょうか?条件があれば教えて下さい!

A: (1)相続放棄とは共同相続の場合でも単独で行うことができます。また、(2)熟慮期間中(3カ月間)に放棄しなければなりません。そうでないと単純承認したものとみなされます。なお、(3)熟慮期間中に相続財産を処分した場合も単純承認とみなされ相続放棄できなません。

さらに、(4)相続放棄とは必ず家庭裁判所に対する申述によって行わなければなりません。例えば、他の相続人に「財産はいらない」と公言したからといって相続放棄がなされたわけではありません。

ただし、(5)相続放棄の理由は問われません。しかし、(6)一度放棄したら、その撤回は認められません。

なお、相続放棄をすると、同意の者がなければ順位が一つ下の相続人に移ります。新たに相続人となった人は、自分が相続人であることを知ってから3カ月が熟慮期間となります。