生前に相続放棄をした場合はどうなりますか?

相続される人がまだ生きている間に、他の相続人に迫られて相続放棄をしてしまう方もいらっしゃいます。生前に相続放棄をしてしまった場合、遺産相続できなくなってしまうのでしょうか?

答えはノーです。生前に相続放棄をしてしまっても、法律的には何の意味もないのです。したがって、堂々とご自身の相続権を主張することができます。

とはいっても、他の相続人が「話が違う」などと文句をつけてくる場合もあります。そのような文句には法律的根拠はないのですが、当事者同士で話し合っていると、感情的な争いになってしまうこともあります。そこで、生前の相続放棄を巡ってトラブルになりそうなときは弁護士に相談されることをおすすめします。

なお、大正9年9月4日の大審院(現在の最高裁判所)の判決も、生前の相続放棄は無効だと言っています。漢字カナ混じりなので、読みにくいですが、参考までにどうぞ。

家督相続人カ自己ノ為メ開始セル相続ノ抛棄ヲ為サントスルニハ民法第千三十八条ノ規定スル方式ヲ履践スルヲ要シ其単純ナル意思表示ハ抛棄ノ効力ヲ発生セサルノミナラス相続ヲ承認スルト否トハ相続人ノ独立自由ノ意見ニ因リ之ヲ決定スヘク他ノ掣肘ヲ認容スルヲ得サルモノナルヲ以テ相続人ニ於テ相続ヲ抛棄スヘキ旨ノ合意ヲ為シタリトスルモ毫モ之ニ覊束セラルルコトナク任意ニ相続ノ届出ヲ為スコトヲ得ヘキモノトス