受遺者から相続財産を取り戻すにはどうしたらよいですか?
遺言によって愛人や隠し子などの下へ相続財産が行ってしまうことがあります。このような場合の愛人や隠し子は「遺」言によって財産を「受」けた者なので、受遺者と言います。
このような受遺者から相続財産を取り戻す方法は2つあります。
- 遺言無効確認の訴え
- 遺留分減殺請求訴訟(いりゅうぶんげんさいせいきゅうそしょう)
以下、順にご説明します。
遺言無効確認の訴え
遺言無効確認の訴えとは、遺言が無効であることを裁判で確定させる手続きです。
遺言無効確認の訴えで勝訴できるのは、遺言が無効である場合です。遺言が無効である場合には以下のような場合があります。
- 遺言を作った当時、遺言を作るだけの判断能力がなかった場合
- 遺言を作った本人が遺言を作る本心がなかったような場合
- 何らかの勘違いによって遺言を作ってしまった場合
- 誰かに騙されて遺言を作ってしまった場合
- 誰かに脅されて遺言を作ってしまった場合
- 遺言が法律で定められた方式によって作成されていない場合
遺言無効確認の訴えで勝訴すれば、遺言が無効であることが確定し、受遺者から相続財産を返してもらうことができます。そして、その遺言がなかったこととして、遺産分割手続きをすることができます。
遺留分減殺請求訴訟
遺留分減殺請求訴訟というのは、最低限の取り分が侵害されたとして、受遺者に対して最低限の取り分は返せと主張する訴訟です。この最低限の取り分のことを遺留分と言います。
遺留分は通常、法定相続分の半分です。父母、祖父母、曾祖父母…等のみが法定相続人の場合に限って3分の1になります。
このように、受遺者から相続財産を取り戻す方法はあります。遺言で思いがけず相続財産を取られてしまった人も簡単には諦めないで、弁護士にご相談いただければと思います。