誰が相続人になれるの?具体的な事例から -代襲相続人その2

相続のルールは知っていても、現実の場合に当てはめると誰が相続できるのか判断しづらい時もあります。このページでは、具体的な事例を元に、誰が相続できるのかを簡単に解説いたします。

事例1

Q: 先日祖父Aが亡くなりました。祖母Bは存命で、私の父Dには姉Cと弟Fがいます。しかし、私の父は「親の財産なんていらない!」と相続放棄の手続をすると言っています。父が相続しない分は子どもである私が代襲相続できるということでしょうか?

A: 残念ながら、あなたがDに代わりに遺産を代襲相続することはできません。つまり、Dが相続放棄をした場合、B,C,Eが相続人となり、下図のように配分がなされます。

相続具体例2

どうして被代襲相続人が相続放棄した場合、代襲相続が発生しないの?

代襲相続において、代襲原因は「被代襲相続人が相続開始以前に死亡している、相続開始後の欠格や廃除の3つの場合に限る」としています。

(「欠格」とは、相続の際の不正が認められる時、その相続人の権利を失効する制度を指します。また「廃除」とは、相続権のある人が被相続人に対して虐待をするなどの事実がある際に、被相続人が家庭裁判所に申し立てをすることで相続の権利を失効する制度を指します。)

つまり、相続放棄は任意処分に近似することから、相続権を失ったことにならないのです。代襲相続とは、「被相続人の死亡以前に相続人となるべき人が相続権を失ったとき、その子が代わってその物が受けるはずだった相続分を相続すること」を指します。つまり、法律上の解釈では、相続放棄という行為は相続権を失ったことにはならないので、代襲相続は起こりません。

「親がいらないって言うんだから、子も諦めろ!」ということです。

事例2

Q: また、Dが欠格で私が代襲相続人となりました。しかし、Aが財産はほとんどなく借金ばかりだったことが分かりました。代襲相続人である私でも代襲相続を相続放棄することができるのでしょうか?

A: もちろんできます。代襲相続により相続人になったわけですから相続放棄をする権利があります。また、放棄の期限は自分が相続人であることが分かってから3カ月です。

このように、誰が相続人になるのかは、法律に詳しくない方にとって判断が難しい場合があります。お困りの際は法律の専門家である弁護士にお問い合わせ下さい。