相続登記申請の委任状について

以前、このような相談を受けたことがあります。父が亡くなって相続が開始しました。法定相続人は、兄、姉、わたしの三人です。父の所有していた土地と住居について、相続登記をしたいのですが、ほかの法定相続人である兄と姉の委任状なしで相続登記を申請できるのでしょうか、という相談です。

この相談に対する正しい回答がわかりますか。実は法律上は、民法252条ただし書に規定されている共有物の管理の保存行為として、委任状がなくても法定相続人のうちのひとりが単独で相続登記を申請することができます。この相続登記をする方法は、法定相続人三名のうちの一名が、法定相続人全員の法定相続分で相続登記を申請するという方法です。この方法の場合には、委任状がなくても相続登記の申請が可能なのです。ただし、自分ひとりの法定相続分だけを登記申請することはできないので注意が必要です。

この相談の場合は、このように回答すればよいのですが、法律問題は個々のケースによってさまざまな事情があるため、同じようなケースに思えても回答が異なることが多々あります。ですので、相続登記申請の際の委任状についてや、その他相続について不明なことがある場合には、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。