遺産相続には管轄が大切

遺産相続には関係がないと思われがちな管轄ですが、管轄を利用することによって遺産相続のトラブルが解決できた例をご紹介します。

管轄を利用することによって遺産相続のトラブルが解決できた例

香川出身のAさんは、現在東京に住んでいるのですが、香川に住んでいる親が亡くなったため、香川に戻りました。Aさんの他に相続人は2人おり、香川には弟のBさんが、そして、Aさんと同じく東京に住んでいる妹Cさんがいました。この3人で遺産相続の相続分を決める協議をすることになったのですが、Bさんが一歩も譲らず、なかなか交渉がまとまりませんでした。交渉の度に香川に出向くのは大変なので、AさんとCさんはなんとか東京で交渉できないものかと悩んだのですが、そこでアドバイスさせていただいたのが、家庭裁判所に対して調停の申立をすることです。訴える裁判所は相手方の住所地になるのですが、この調停の相手をCさんにすることで、東京の家庭裁判所で調停をすることになります。また調停には相続人が全員で参加することになっているので、東京で3人の話し合いをすることができるようになりました。

なお、私的に交渉しようとすると、予定の調整ができず、また、それぞれが意見を言うだけで話が進まないことも多々あります。月1回の期日が決められて、また、仲介(仲裁)者が入ることで、話合いがスムーズに進みます。裁判所なんてなどと言わないで、合理的に協議の方法を決めることも必要です。

このように、裁判所の管轄で思わぬ解決ができることもありますので、まず一度困っていることを弁護士などの法律の専門家に相談してみることがなにより大切です。