相続はどこで行われるのか?

管轄と相続

皆さんは、「管轄」という言葉をご存じでしょうか。

法律の世界において、よく問題になるのは、「裁判管轄」というものです。裁判管轄とは、簡単に言うと、どこの裁判所で裁判や調停が行われるか、ということですが、この裁判管轄が、問題の解決にとって重要な役割を担うことが多々あります。

東京と福岡のどちらが管轄になるのか

裁判管轄が相続問題の解決に一役かった場合の事例をご紹介しましょう。

Aさん(東京在住)の父親(東京在住)が亡くなり、相続が発生しました。相続人となったのは、Aさんの他に、Aさんの兄弟であるBさん(東京在住)、Cさん(福岡在住)でした。相続について、遺産の分割を協議するため、AさんがCさんに東京に来てもらうように頼むと、Cさんは逆に福岡に来るよう要求してきたのです。

このような場合、お互いに譲らない場合は裁判所で調停を行うことになります。

そして、その調停が行われる裁判所は、「相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所」と定められているため、Cさんに対して調停の申立をすると、東京在住のAさんはわざわざ福岡まで行くことになってしまいます。この場合、Bさんに対して調停の申立をすることで、東京で調停が行われ、Cさんもそれに参加することになります。

このように、管轄は相続問題の解決にとって、もっと言えば、有利な解決にとってとても重要です。とはいえ、このような場合はまず当事者間で十分に話あった後、話がまとまらなければ、まずは弁護士等に相談してみる方が穏便に済ませられるでしょう。