相続税の取得費加算について

相続税の取得費加算

被相続人の死亡によって相続が発生すると、相続人は現金だけでなく土地や建物などの不動産、株式といったものなど、さまざまな種類の財産を相続します。

ところで、こういった相続によって取得した財産を他の人に売却などした場合は、譲渡所得税の問題が発生します。相続税額の取得費加算とは、この相続の際に発生した相続税額のうち一定額を、その譲渡所得の計算上取得費に加算することによって、控除できる制度です。つまり、これは相続税の話ではなく所得税の話です。

相続税の取得費加算が行われるケース

具体的な例として、被相続人から土地を相続し、相続税を納めたとします。すると、その相続税を、所得税の計算において取得費として加算することができる制度が、この相続税の取得費加算です。

土地の売却をすれば、その売却に伴って得たお金に対して、譲渡所得税が課されます。しかし、土地を相続した場合で相続税を支払っているようなときには、あまり期間をおかずに譲渡所得税を課すことは、同一物件について相続税と所得税とが連続して課され、相続した人の大きな負担となります。

こうした事態を緩和するためにこの相続税の取得費加算が設けられているわけです。ただし、この特例を利用できるのは、相続税申告期限から3年以内の譲渡についてです。相続税の申告期限は10カ月ですので、被相続人の死亡からおよそ3年10カ月以内にその相続によって取得した土地を売却した場合に適用があります。