相続人不存在のとき、相続財産はどうなりますか?

相続人不存在ということがあるのかと思うでしょうが、まれなケースで、①天涯孤独で配偶者や子どころか親、兄弟もその代襲相続人も現れないことがあります。これを相続人不在といいます。

また、②マイナスの財産ばかりで全員が相続放棄をして相続人不在となってしまうこともあります。

相続人不存在の場合、一方では(1)相続人を探さねばならず、また(2)他方では相続人が出現するまで相続財産を管理し、清算しなくてはなりません。

相続人不存在時の扱い

そもそも相続とは「財産や債務だけではなく、法律上の地位が包括的に承継されること」をいいます。そして、相続人不存在の場合は主体となる人がいないわけですから、相続財産それ自体を、清算しながら相続人の出現を待つという目的をもった法人(相続財産法人)とすることにしています。なお、相続人が現れたら、その法人は存在しなかったものとします。

手続1)
利害関係者又は検察官の請求によって、家庭裁判所は財産の管理人を選任し、かつすぐにその旨を公告することになります。

手続2)
財産管理人選任の公告した後、2ヶ月は清算しないで相続人の出現を待ちます。その後一定の期間が経過すると、債権者への弁済が開始します。

家庭裁判所は全部で3回の公告を行い、最後の公告に定めた6ヶ月以内の期間内にもなお相続人が現れない場合は相続人らの権利が消滅し、相続財産は国庫に帰属することになります。

特別縁故者への扱い

昭和37年の法律改正によって、相続人不存在で上記の手続後に、特別縁故者に相続財産を承継させる途が開かれました。

特別縁故者とは、①被相続人と生計を共にしていた者(例えば、内縁の妻、事実上の養子、配偶者の連れ子など)、②被相続人と生計を同じくしないが療養看護に努めた者、③養老院等、その他被相続人と特別縁故があった者をいいます。

その場合は、相続人らの権利が消滅してから3カ月以内に家庭裁判所に請求し、認められれば承継がなされることとなります。さらに借地や借家においてはもっと広い範囲で認められることとなります。

なお、特別縁故者に対する相続財産の承継が認められるのは、相続人不存在の時のみです。相続人不在に関して何かご不明な点がございましたら、平間法律事務所が運営する無料の電話法律相談をご利用下さい。