遺産相続の際に遺言は書くべきですか?

遺言を残すことをお勧めします

遺言を書けば、①遺言によって自らの財産を誰にどのように分けるかを決めることができ、自分の思いを残された子たちに伝えることができます。そして、②遺言によって相続人間の争いを防ぐことができます。

①この家は絶対にあの子にあげたいとか、あの子は自分の老後の世話を文句ひとつ言わずに毎日してくれたから、他の子よりも多く財産をあげたいなど、いろいろな思いがきっとあるでしょう。その思いを遺言という形で子たちに伝えましょう。

②遺言がなければ、誰がどれをいくらもらうかで相続人間で争いになることがよくあります。相続で子たちがけんかするという話を聞いたことはあっても、うちの子たちは仲が良いから絶対に大丈夫と思っている方もたくさんおられるでしょう。

しかし、子たちにもいろいろな事情があって、相続のときには緊急にお金が必要な状態になっているかもしれません。そのようなときに相続財産がもらえるとなれば、少しでも多く欲しいと思うのが普通です。ですから、子たちの間でけんかになることは十分に考えられます。

このような点で、遺言書を書いておくことが非常に重要になります。

遺言に書くべき事

では、遺言にはどのようなことを書けばよいでしょうか?

例えば、次のようなことを書きます。
①財産の処分方法、②身分上の事項、③相続人の排除、④遺言執行者の指定

①財産の処分方法

これは、遺産相続について相続人間の割合を決めたり、相続人ではないけれども、お世話になったあの人にはぜひとも自分の遺産をあげたいと思ったときに、具体的な遺産相続の方法を遺言として残しておくということです。

②身分上の事項

例えば、自分の子を認知したり、子どもに未成年者がいる場合にその後見人を遺言で指定することが考えられます。

③相続人の排除

例えば、子どもから暴力を日常的に受けており、遺産を相続させたくないと思う場合が考えられます。もっとも、この場合には家庭裁判所の審査がありますので、必ず相続させないことができるというわけではありません。

④遺言執行者の指定

せっかく遺言をしても、遺言に従って遺産相続がなされなければ意味がありません。そこで、信頼できる方に事前に遺言通りの遺産相続が行われるように頼んでおくことができます。

遺言を書こうと思ったときが書くとき?

多くの人は死ぬ間際に遺言書を書けばよいと思っているかもしれません。しかし、いつ死ぬかは誰にもわかりません。後で書けばいいと思っていると、書かないままになってしまう可能性が高いです。

また、遺言書を書くのは縁起が悪いと思われるかもしれません。しかし、遺言書を書いたから亡くなったという話は聞いたことがありません。

冒頭で述べたように遺言の重要性を考えれば、あとでいいとか縁起が悪いと言って先延ばしにして良いことはありません。先延ばしにしていると、自分の思いを伝えられないままになってしまいますし、子どもたちの争いを生じさせることにもなりかねません。

思い立った日にすぐに遺言を書きましょう。

遺言を書くにもルールがある

遺言を書くにもルールが決められており、そのルールに従っていなければ、せっかく書いた遺言も無効になってしまいます。そして、その要件もとても厳格に定められています。そうならないためにも専門家に指導を受けるのをお勧めします。