限定承認ってなに? -その概要と手続き-

亡くなった父親に多額の借金があることが分かった場合など、被相続人のプラスの財産よりもマイナスの財産の方が大きいことが明らかな場合には、相続人は、相続放棄をすることにより、マイナスの財産を受け継ぐことを免れることができます。

では、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産のどちらの方が大きいのかはっきり分からない場合には、どうすれば良いでしょうか。

そこで考えられる手段が、限定承認です。

限定承認とは?

限定承認とは、被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐという制度です。

限定承認の手続き

限定承認をするためには、相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に相続財産の目録を提出して限定承認をする旨の申述をする必要があります。

相続人が複数いる場合、限定承認は、全ての相続人が共同で行わなければいけません。この点は、各相続人が個別に行える相続放棄とは異なるところです。

限定承認の申述をした場合、限定承認者(相続人が複数のときは,申述の受理と同時に選任された相続財産管理人)は、相続財産の清算手続を行うことになります。

まずは,期間内(限定承認者の場合は5日以内,相続財産管理人の場合は選任後10日以内)に,限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨の公告(官報掲載)の手続きを行います。

その後は,法律にしたがって,弁済や換価などの清算の手続きを行っていくことになります。

限定承認は弁護士にお任せ下さい

このように、限定承認は、相続放棄に比べて手続きが複雑で手間も時間もかかります。

相続放棄をするか、それとも限定承認をするか、迷われた時には、弁護士等の専門家に相談するなどして慎重に検討されるとよいでしょう。