神奈川県の施設へ寄付するための遺言

自分の遺産は自分がお世話になっていた人に渡したいと思うのも当然です。遺産を育った施設に寄付したいという方は、遺言を残すのがよいでしょう。

1. 遺言による寄付の相談

相談者は、両親を早くに亡くし、その後神奈川県にある施設で育ちました。その後成人して、事業にも成功し、夫婦2人で暮らしていたのですが、病気で先が長くないことを知りました。「いくらかの財産を自分が育った神奈川県の施設に寄付したいのですが、寄付することができますか?」というご相談でした。

2. 施設へ寄付する遺言の問題点

遺言で神奈川県の施設へ遺産を寄付することは当然できます。なお、問題なく寄付するためにはいくつか手段があります。

法定相続人には遺留分という侵すことのできない一定の相続分が保障されています。配偶者ですと,遺産の1/2が遺留分として認められています。

ですから、神奈川県の施設に遺産の全てを寄付したとしても、妻が神奈川県の裁判所に対して遺留分減殺請求をすれば、1/2を返すことになり、遺言通りの寄付はできません。

問題がない遺言を書くための手段としては以下の方法があります。

(1) 遺留分に配慮した遺言にする

妻に遺産の1/2を残し、残りの財産を寄付すると遺言することが、1番問題がない方法でしょう。

(2) 遺留分放棄の手続きをしてもらう

また、相続開始前に妻に自分の意見を伝え、理解してもらって遺留分放棄の手続きをしてもらうことです。これは、相談者の住所地の家庭裁判所に申し立てをして、正当な理由があるかどうかや本人の意思を確認します。そして、裁判所が許可すれば遺留分放棄できます。

このように、遺言によって寄付を行うにはいくつかの方法がございます。ご不安の際はお気軽に平間法律事務所までご相談下さい。