マンションを内縁の妻に相続させることはできますか?

相続によって愛する人が住む家も無くなってしまうというのはとても悲しいことです。法律上保護されない内縁関係の者に財産を残したい場合、どのような手段が取り得るでしょうか?

1. マンションの相続

相談者には10年同居している内縁の妻がありました。しかし、法律上は別居して12年になる妻があり、妻との子が1人います。妻は不貞を理由に10年前には離婚に応じてくれませんでした。

現在、内縁の妻と一緒に住んでいるマンションがありますが、死後に相続によって内縁の妻が追い出されてしまうことを懸念しています。マンションくらいは内縁の妻に残してあげたいと思うのですが、どうしたらよいでしょうか?というご相談でした。

2. 遺言という手段

相続権のない者に、相続財産を渡したい場合には、遺言によって贈与してしまうか、生前贈与するとよいでしょう。

しかし、遺言によってマンションを贈与する場合には、注意すべきことがあります。法定相続人には遺留分という、侵すことのできない一定の相続分が保障されています。ですから、遺留分を侵すことのないようにしなければ、遺留分減殺請求で、遺留分を超えて贈与されたものは返さなくてはならなくなります。

また、生前贈与も相続開始1年以内に行われたものに関しては、遺留分減殺請求の対象となります。

3. 遺留分減殺請求に備えること

(1) 妻の減殺請求に備えて
預貯金で持っておくことで現金で代価を弁償することができます。

(2) 弁護士を遺言執行者に指定する
マンションの登記等の手続等もありますし、他の相続人である妻との交渉等も必要となりますので、弁護士を遺言執行者に指定しておくと相続をスムーズに進めることが可能です。