兄弟への相続と遺留分はどうなりますか?

遺言によって、相続財産を誰にどれだけ相続させるか、決めることが出来ます。

しかし、日本の民法では、被相続人の一定の近親者に対して、相続財産を一定の割合が留保されることが定められています。これを、遺留分といいます。分かりやすく言うと、遺留分とは遺言等で被相続人の自由に処分することができない財産のことをいいます。

1. 遺留分が認められる理由

以下のような理由のため、遺留分が認められています。

  • 被相続人の財産に依存して生活していた者の生活を守るため
  • 被相続人の名義になっている財産の中に含まれる、他の者の潜在的持分の顕在化のため

ですが、被相続人が全財産を他人に贈与しても当然に無効になるわけではありません。相続人はその遺留分の限度で贈与や遺贈の効力を消滅させることができます。これを遺留分減殺請求といいます。

2. 遺産に対する遺留分の割合について

配偶者がいる場合
兄弟と遺留分1

配偶者がいる場合

兄弟と遺留分2

以上のように、配偶者の有無に関わらず、法定相続人の中でも、相続人の兄弟姉妹(又はその代襲相続人)には遺留分がありません。したがって、遺言することによって、兄弟に遺産を渡さないようにすることも可能です。

3. 兄弟が相続人である場合の遺留分の例

Q:被相続人には配偶者も子も親もなく、兄弟が2人いて、その他に20年連れ添った内縁の妻がいた場合、相続はどうなるでしょうか?

A:法定相続人は兄弟2人になります。内縁の妻は法定相続人ではないため、相続することはできません。しかし、被相続人が「内縁の妻に全ての財産を相続させる」という旨の遺言があれば、内縁の妻は全ての財産を相続できます。

なお、兄弟には遺留分が認められないため、この場合では遺留分減殺請求によって内縁の妻が返さなければいけない遺産はありません。