栃木で起こった相続

栃木の相続事案をご紹介します。

亡くなったのは栃木の男性です。男性の配偶者は既に無くなっており、6人の子どもが相続人です。

長男は栃木にある自動車教習所の代表取締役でした。父である亡くなった男性は同自動車教習所に対して資金を援助していました。

自動車教習所の経営は赤字でした。そこで、父は栃木の土地を売却して、赤字を補おうとしました。しかし、土地の売却には栃木県知事の許可が必要だったため、売却が完了するまでに、数年かかる見通しでした。その間に、父の健康状態が悪化してきたため、父は万一売却が完了する前に亡くなったとしても、土地を売却できるように、遺言を残しました。そして、ついに、父は土地の売却が完了する前に亡くなってしまったのでした。

以上が長男の語ったストーリーです。

これに対して、他の兄弟は、長男がストーリーをでっち上げているのだと主張しました。具体的には、父は土地を売却するつもりはなかったし、遺言は長男の偽造だというのです。

結局、裁判になり、栃木県の宇都宮地方裁判所は長男のストーリーが正しいと判断しました。

事案のポイント

今回の事案のように、遺言が偽造だという主張がなされた場合、原告と被告のどちらのストーリーの方が信用できるかということを客観的な証拠から判断することになります。今回の事案では、父が自動車教習所に対して援助を行っていたことが認められたため、長男のストーリーの方が信用できると判断されたと見ることができます。

また、遺言の偽造、改ざんの争いを避けるためには、公正証書遺言という制度を利用する方法もあります。公正証書遺言というのは、公証人1人と証人2人の立会の下に遺言を作成するので、偽造、改ざんのおそれが小さくなります。

なお、平間法律事務所では、栃木に限らず全国各地の相続のご相談を承っております。無料の電話法律相談を是非ご利用ください。