遺言書でできること

「遺言書を書くと早死にしそうだから書きたくない!」とか「自分の家族に限って遺産を争うようなことはしないはず!」と思ってはいませんか?

しかし、そうやって遺言書を遺さなかったために、遺産相続を巡る紛争を激化してしまい、仲のよかった家族関係に亀裂を生むことも少なくありません。遺言書にはあらゆる効力がありますから、自分のためにも、また自分の大切な人のためにも考え直してみてはいかがでしょう?

1. 自分のための遺言書

(1) 法定相続人以外の人に遺産を遺す

遺産をあげたい人が法定相続人とは限りません。遺言書に誰にどのような財産を相続させたいのかを書くことで、血族以外の第三者であっても遺産を相続させることができます(遺贈)。ただし、遺留分にはご注意下さい。

(2) 葬式やお墓に希望がある

「葬儀はひっそりと行ってほしい」、「遺骨は好きだった海に撒いてほしい」など人生の幕引きをどのようにしたいという希望もあると思います。その場合は遺言書で触れておくことが望ましいでしょう。
(ただし、法的な強制力があるわけではありません。)

(3) ペットのお世話をしてほしい

自分にもしものことがあった時、ペットはどうなってしまうんだろうと不安に思う人もいるでしょう。ペットは法律上、物として扱われますので、最悪の場合保健所などで処分されることにもなりかねません。

そこで、世話してくれる人をさがし、その人にペットの世話という義務を負担してもらう代わりに財産を遺言書で遺贈することができます(負担付遺贈)。

2. 大切な人のための遺言書

(1) 大切な人たちに無用なトラブルや負担を回避させる

どんなに仲のよかった家族でも、自分がなるべく多くの遺産を得たいと思うのが人間の心理でしょう。そのため、相続によって家族の間で争いが生じてしまうことはよくあります。この場合、遺産分割協議に何度も集まらなくてはならないなど、相続人らに大きな負担をかけることになります。

また、遺産分割協議がまとまらなかったために10か月以内に相続税の申告をすれば受けられるあらゆる控除を受けられない。遺言書がないために、このような事が起きる場合もあります。

遺言書があることの効力はとても大きいので、無用なトラブルを避けるためにも作成することをお勧めします。

(2) 内縁の妻や婚外子に相続させる

何十年も一緒に暮らしてきたのに、ただ籍を入れなかっただけで、法律上の配偶者とらず、互いの相続人になれない。とても悔しいことです。内縁の夫婦が夫の家に住んでいた場合、夫の死亡によって内縁の妻は夫の相続人から立退きを要求されることになりまねません。内縁の夫婦が、パートナーに遺産を遺したいのであれば、必ず遺言書を作らなければなりません。その遺言書の効力が全てですから。

認知されていない婚外子も相続人にはなれません。生前に認知できない場合は、遺言書によって認知することができます。ただし、認知しても婚外子の法定相続分は、婚姻した夫婦の子の半分だということはお忘れのないようにご注意ください。

(3) 相続財産に不動産が多い

遺言書が無ければ、遺産分割協議が成立するまで遺産は全て相続人全員の共有となります。「共有」となってしまった遺産は相続人全員の同意がないと処分できません。そのため、不動産の処分ができず、多額の相続税やローンなどの支払いが困難になってしまうことがあります。

そこで「A不動産を長男に、B不動産を二男に相続させる」と遺言書で指定すれば、一人の相続人がその不動産を単独で相続でき、処分もできます。

このように、遺言書を作成することで無用なトラブルを避けるだけでなく、あなたの思い通りの相続を実現することができます。確実な相続のためにも、遺言でお悩みの際は平間法律事務所までお気軽にご相談ください。